仏陀(ブッダ)であるお釈迦様の教えは、入滅されてから2,500年以上経った今日でも世界中の方々に多大なる影響を与えております。それでは一体どういったことを説かれたのでしょうか。その内容に触れたいと思います。
お釈迦様は29歳の時、王宮を抜け出して出家をし、35歳の時に悟りを開かれ、以後45年間説法の旅に出ました。その間様々な大勢の方々に教えを説かれてきました。
まず弟子たちに受け継がれたお釈迦様の教えとは、生まれて死ぬことを繰り返す輪廻は苦であると見なします。輪廻から抜け出すことを解脱といい、それを理想と考えます。この思想は古代インドの宗教と共通しております。
苦とは単に苦しみという使われ方もあるが、本来は思い通りにならないという意味であります。この苦は4つや8つで表されます。いわゆる四苦八苦です。
- 生(しょう)… インドでは古来よりカースト制度という身分制度があって、誰も思い通りの環境に生まれることは出来ません。
- 老(ろう)… 誰でもいつかは老います。
- 病(びょう)… 病気に絶対にならないことは出来ません。
- 死(し)… 命あるものは必ずいつかは亡くなります。
- 愛別離苦(あいべつりく)… 愛するものと別れる苦です。
- 怨憎会苦(おんぞうえく)… 憎いものと会うことは思い通りにならない苦です。
- 求不得苦(ぐふとくく)… 求めても思い通り得られない苦です。
- 五蘊盛苦(ごうんじょうく)… 心も体も思い通りにすることは出来ない苦です。
これらの苦は誰も例外なく誰も避けることができないわけです。ですのでこれらの苦の現実をしっかり認め、その原因を探ることをお釈迦様は教えました。そしてこれらの事実の原因を、思いの抱く心のあり方に求め、心を観察し、コントロールすることで苦を乗り越える道を示しました。
そして輪廻することも解脱することもそれまでの善悪の働き、即ち「業(ごう・カルマ)」によるものなので、積極的に善業に努めれば良い結果を招くという行為の結果を生むと考えられました。
仏陀(ブッダ)が説いた教えは「三法印(さんぽういん)」という3つの特徴を備えています。
1つ目は「諸行無常(しょぎょうむじょう)」で、すべては常に変化するということを表します。心の働きを含め、すべての現象や作られたものは時が経つにつれて移り変わっていくものであります。
2つ目は「諸法無我(しょほうむが)」で、すべては因縁によって決まるということを表します。すべてのものは、直接的、間接的な因縁によって生じていて、それ独自で存在するものはありません。
3つ目は「涅槃寂静(ねはんじゃくじょう)」ですべての人の心は本質的に清らかで永遠に続くということを表します。これに「一切皆苦(いっさいかいく)」迷いの生存はすべて苦であることを表す。を加えて「四法印(しほういん)」とすることもあります。
仏陀(ブッダ)が説かれたすべての教えはこの3つないし4つの教えをでることはありません。我々も仏陀であるお釈迦様にはほど遠い存在であるように思いますが、本質的には仏陀(ブッダ)と変わらないという理解から、修行を積み、いつかは輪廻から解脱することができると考えられております。