彫刻であらわした仏像に対して、絵画であらわした仏の画像を仏画といいます。色々な種類があり、礼拝や法会に用いられる独尊で描かれた仏や、仏・菩薩の尊像画やそれらの集合である浄土図などあります。
日本の仏画は平安時代以降に密教画の隆盛が起こりまして、両界曼荼羅をはじめとする各種の曼荼羅や独尊像が多く作られました。両界曼荼羅は胎蔵曼荼羅と金剛界曼荼羅よりなり、いずれも大日如来を中心として多数の尊像を配置します。その他の曼荼羅としては修法の目的に応じて選ばれた尊像を中心とする別尊曼荼羅と呼ばれるものがあります。平安時代中頃から浄土信仰の影響を受けて阿弥陀来迎図を主流とする浄土教画が流行していきました。平安末期から鎌倉時代にかけては仏教説話画や、中国渡来の禅宗絵画などが興隆しました。
チベット仏教美術においても彫刻と絵画が主流であり、その絵画は「タンカ」(thang-ka)と呼ばれ、チベット仏教の仏画の総称であり、チベットを代表する美術品です。
タンカはチベット仏教の伝播にともない、モンゴルや中国内地でも制作されるようになりました。タンカという呼称は、主にチベットで作られたものを指しますが、チベット仏教を信仰するモンゴルや中国でも製作されます。ネパールの掛軸はしばしばポーバーと呼ばれますが、タンカとも呼ばれます。ネパールの仏画絵師はしばしばチベットに赴き、チベット仏教徒の為にタンカを描いてきた歴史もあります。
種類としては阿弥陀如来・薬師如来・観音菩薩・文殊菩薩などの通仏的な仏たちや、各宗派の祖師や仏伝・曼荼羅、諸尊や歴代ラマやを樹木の形態に集合させた絵画のタンカなどがあります。
タンカは顔料で描かれることが多く、織物、刺繍、アップリケ、木版画で描かれることもあります。顔料で描く場合、下地には布が使われます。無地の木綿布を使い、この布の上に白土と膠を混ぜたものを塗り込み、表面を平滑にしてから絵を描きます。この処理は顔料の剥離を防ぐためです。顔料は天然鉱色材や科学的な色材が用いられる場合がありますが、天然の顔料は非常に高価で、しばしば科学的な色材が用いられます。各尊像の比率は細かく決まっていて、タンカ絵師たちはそれぞれの師匠から指導を受けます。
まずどの仏様が描かれているかを見てみてください。それ以外には仏様のサポート役である眷属も一緒に描かれている場合があるのでそこに注目してみるのもいいでしょう。
肉筆ですので、細かな木の葉や、花びらなどの細かな部分なども注目いただければと思います。全体としても細かな所もじっくり見て味わってください。きっと気付かなかった新たな発見があるかと思います。