仏像はたくさんの種類があり、色々な服装をしています。質素な服装の仏様もいれば、派手できらびやかな仏様もおられます。一体どのように見分ければいいのでしょうか。
仏教の開祖であるお釈迦様は、王子として生まれましたが、全てを捨てて出家をしました。出家後、国を出てすぐに猟師と出会い、着ている物を交換しました。猟師の服はつぎはぎの粗末な衣装であり、その衣装が袈裟(けさ)の始まりだといわれています。袈裟(けさ)はサンスクリット語でカシャーヤといい、その言葉を音写したのが袈裟(けさ)であります。
最初期仏教の修行僧はごみためや路地などに捨てられたぼろきれを拾い集めて、よく洗ってからこれを縫い合わせて、四角い衣を作り、それを身にまとっていました。これを糞掃衣(ふんぞうえ)といいます。あらゆる煩悩から離れているのを表すためにこれを身につけます。
お布施とは昔の布は手織りで大変高価だったので、それをお供えの1つとして使われました。
それから厳しい修行を経て、遂に悟りを開かれました。
仏像は大きく分けて「如来」「菩薩」「明王」「天」という「四大種別」に分けられます。
如来はそのお釈迦様(釈迦如来)がモデルとなっていますので、菩薩とは違って装飾品はなく、納衣(袈裟)と裳(も)だけを身につけています。衣の着衣方法は2種類で通肩(つうけん)と偏袒右肩(へんだんうけん)といいます。通肩(つうけん)は腰に裳(も)を巻きつけ、納衣(袈裟)を着ます。両腕を袈裟(けさ)の下に通す形で、両肩を覆います。偏袒右肩(へんだんうけん)は右肩を露出し、左肩にのみ衣の端をかけますが、日本の仏像には右肩にもかける変則的な偏袒右肩(へんだんうけん)もあります。腰には裳(も)と呼ばれるスカートのような衣類をきています。大日如来は如来でありますが、例外的に菩薩のお姿をしています。
菩薩はお釈迦様が出家する前の王族時代のお姿をされているので、きらびやかなお姿をしています。宝冠をかぶり、瓔珞(ようらく)=ネックレスをつけ、腕釧(わんせん)=ブレスレット、臂釧(ひせん)=上腕の飾り、足釧(そくせん)=足飾りを身につけています。これらは現代的にいうとアクセサリーといえます。さらに条帛(じょうはく)といって薄手の布を左肩から右脇腹に斜めにかけています。腰には裳(も)と呼ばれる下半身を覆うスカート状の衣類をきています。菩薩の中でも地蔵菩薩は例外として僧形のお姿であります。
明王も菩薩と同じく、服装と装飾品はよく似ています。上半身に条帛(じょうはく)を下半身に短い裳(も)を身に付けています。さらに菩薩と明王のお姿としての差異は、明王は手に武器を手にしているのと、忿怒相(ふんぬそう)であることです。明王の中でも孔雀明王は例外として忿怒のお姿ではなく柔和なお顔をされています。
天部のお姿は様々あり、菩薩のようなお姿から武人形のような姿まで多岐にわたります。色々な服装をしていますが、現世の人間に近いお姿をしています。四天王や十二神将は甲冑に身をかためていますし、貴婦人のお姿をしている天部もおられます。
例外はありますが、「布以外何も身につけていないのが如来」で、「きらびやかなお姿が菩薩」、「菩薩と似ているが忿怒のお姿で、手に武器を持しているのが明王」、「そのどれにも当てはまらないお姿が天」といえるのではないでしょうか。