よく仏像を当時の色をコンピューターグラフィックで復元するとこんな色なのかと驚くことがあります。非常に眩い極彩色で、現在の姿とはほど遠いような印象を受けることがあります。
寺院の堂内は常に灯明が灯され、お香を焚いているので祀られている仏像は煤(すす)で黒く見えます。
32相八十種好(さんじゅうにそうはちじゅうしゅごう)とは仏様にそなわる32の顔や手・足などの優れた身体的特徴のことです。大乗仏教によってお釈迦様は超人的な存在になり、その証として通常の人にはない特徴があるとされました。その中の金色相・丈光相(こんじきそう・じょうこうそう)では、体全体が金色で、周囲に光を放っている相です。多くの仏像が金色に造られ、後ろに光背を備えるのはこの二相のためです。
仏様は我々衆生より輝いた存在であることを金色の光で表現したものだと考えられます。
五仏とは密教の主尊である大日如来を中心に大日如来・阿しゅく如来・宝生如来・阿弥陀如来・不空成就如来の五尊です。それらを表す色はそれぞれ白、赤、黄、青、黒で表されます。
大日如来は白で表されますが、これは全ての色を表した色とされます。それらの智慧を表す五智は(法界体性智・大圓鏡智・平等性智・妙観察智・成所作智)(ほうかいたいしょうち・だいえんきょうち・びょうどうさっち・じょうそさち)で、五仏は曼荼羅の世界におけるその他のすべての諸尊の根本の尊格でもあります。そして五仏のうちの四仏は、大日如来の総徳を分ち、大日如来一尊より顕現したものです。
従いまして大日如来の内証の知恵である法界体性智は、その徳を開けば四仏、四智となります。大日如来の法界体性智を開いたものが大圓鏡智以下四智であるので、五智といっても法界体性智に帰一することになります。
不動明王の姿における十九種の図像的特徴である十九観には、色が醜く、青黒であることとされています。チベットでは阿しゅく如来は必ず青色で表されます。これは阿しゅく如来が金剛部という力を象徴した勇猛なほとけたちの代表的であることに由来します。インドでも忿怒の神々はおおむね青黒色で表現されるとあります。
愛染明王は青黒色が多い明王の中でも、もっとも目につく特徴として赤い色をしています。明王の体から台座、光背にいたるまで赤色で表現されるのが特徴です。これは愛染明王の性格を表す強い愛を示すための色を表現しています。
このように仏像は色々な色をしています。色はその仏像の性格や方角などを表現しています。金剛界五仏や五大虚空蔵菩薩などは、それぞれの方角や色などが決まっております。
色だけでもどんな種類の仏かを見極めるポイントにもなります。仏像を鑑賞する際には素材そのものの色なのか、金箔や鍍金などをあしらっていてそれが時代を経て禿げてしまったのかを見てみると良いかもしれません。
彩色が当時に施されたとしても、中にはわずかに色が残っている像もあります。